「看護師 向いてない」「看護師 転職」――
苦労と努力を重ねて晴れて看護師になったのに、現場で働くうちに「私、看護師に向いてないのかも」と思い、転職を考えたことはありませんか。
私も、携帯を手にとっては上記キーワードで何度も検索した記憶があります。
このブログでは、私が3度の転職を経て得た学びや気づきを同じように悩むあなたへ向けて発信しています。
夢だった看護師。なのに「向いてないかも?」そう思った私の本音

物心ついた頃から、すでに私の夢は「看護師さんになること」でした。
おもちゃのナースキャップを被り注射器片手に遊ぶことが好きで、観月ありささん主演のドラマ『ナースのお仕事』(1996‐2002)を見ては、「いつか私も病院で働く看護師さんになりたい」と周囲の大人に話していたことを憶えています。
その後、勉学に励み何とか医療系の学校へ進学。幅広い分野の勉強と実習をまさに死に物狂いで乗り越えました。
さらに、「人生でこんなにも勉強することがあるだろうか」というくらい寝る間を惜しんで国家試験に向けて猛勉強する毎日。
そして私は――
晴れて念願の看護師になったのです。
この時の私は、まさか自分が「私は看護師に向いてないのかもしれない」と思い悩み早々に転職をすることになるとは露にも思っていませんでした。
大きな期待を胸に4月に総合病院へ入職。
私はそこで看護師としての現実と自分のキャパを思い知らされることになります。
看護師の「理想」と「現実」
さて、看護師としてのキャリアをスタートするにあたり私には理想とする看護師像がありました。
それは、‘患者さんや同僚・他職種から信頼される看護師‘です。
この理想の看護師像についてもう少し詳しく掘り下げると、以下の3つになります。
- 患者さんが気負うことなく気軽にコミュニケーションをとることができる看護師
- 幅広い知識や技術を網羅し、あらゆる場合に対応できる看護師
- 初心を忘れず、新人看護師が抱える不安や悩みに寄り添うことのできる看護師

努力をすれば、いつか理想の看護師になれる!と信じていました。
患者さんとの会話を通して、「病気を持つ人」という側面だけでなく患者さんのそれまでの人生や価値観に触れ、その情報を看護に生かすことができる――
幅広い知識や技術を習得することで、患者さんに質の高い看護を提供でき、また他職種からも信頼される看護師になる――
そして、新人看護師の知識・技術習得のための援助を行いながら、精神的支援も行うことができる――
今思えば身の丈に合わない理想像だったなと思うのですが、当時の私は辛く厳しい日々も理想の看護師になるためだと信じて奮闘していました。
「いつか理想の看護師になるために」
私はその一心でがむしゃらに日々を過ごしていましたが、多忙な毎日の中である日ぷつっと突然糸が切れてしまったのです。
終わりの見えない日々
看護師は非常に幅広い分野での知識や技術が必要になります。
さらに医療は日進月歩、1度習得した知識や技術も明日の看護では通用しなくなることもあり得ます。
ここで、誤解があるといけないので念のため説明しておきますが、何もこれは看護師に限った話ではありません。
多職種で連携して医療を提供する体制が整いつつある現代――
各職種がお互いに補い合いながら、そして他職種への理解を深め、より質の高い医療を提供するためにそれぞれに毎日勉強を続けながら日々業務を行っています。
しかし私は、あまりに広すぎる分野を目の前にして早くも‘幅広い知識や技術を網羅し、あらゆる場合に対応できる看護師‘になりたい、といった目標を見失ってしまいました。
どれだけ時間を取って勉強や復習・予習をしても、実際に現場でできるようになることは1つも増えず、何もできない自分を痛感させられる毎日。
今振り返ると、大きな理想に対して具体的なプロセスを考えられていなかったことが早くに心が挫けた原因の1つだったのかもしれません。
しかし、当時の私はそのように自分を冷静に分析することもできないくらいに追い詰められていたので、「こんなに頑張っても成果がでない」「私は何もできない」といった感情だけがもやもやと心を蝕んでいきました。
そしてある日ふと思うのです。
「私って看護師に向いてない?」と――
優秀な「同期」と、何もない「自分」
私と一緒に配属された同期は非常に優秀、それでいて愛嬌もありコミュニケーション能力も高い子でした。
そんな子ですから、患者さんとの他愛もない会話からの情報収集は得意でしたし、先輩からはよく声をかけられ指導してもらっていました。
それでいていつもニコニコしているので、周囲の人を不快にさせるようなことはもちろんありません。
さて、みなさんお気づきでしょうか。
この同期は既に、‘私が目指していた理想の看護師を体現したような子‘だったのです。
優秀であればそれほどに周囲の信頼も得ることができますし、コミュニケーション能力は患者さんや新人看護師さんを支える立場になる将来にも欠かすことのできない資質。
ここでも誤解のないようにお伝えしておくと、周囲からこの同僚と自分を比較されたような発言や指導は1度もありませんでした。
あくまで私が一方的に同期に対して‘劣等感‘を抱いてしまったのです。
終わりの見えない勉強と、同期と比較して勝手に抱え込んでいたプレッシャー、そして何もできない自分。
私の張りつめていた心の糸がぷつんと切れるには、十分な理由でした。
限界を迎えた心
なりたかった看護師からどんどん遠ざかる日々を送る自分、そして真逆にどんどん成長を遂げスキルアップし看護師として輝いていく同期。
この同期と自分を比較してしまった瞬間に、何とか状況を打開しようともがけばもがくほど空回りする日々。
勉強・実践がうまくいかない、だから同期と比べて評価が低いと思い込む(1度もそのように言われたことはありません)、同期の子のようにうまくやろうとする、そして自分を見失う――
今思えば、完全に負のスパイラルなわけです。
なりたくて仕方がなかった看護師、夢を叶えたはずなのにどうしてこんなに苦しいんだろう。
「私看護師向いてないのかも?」
この不安は、私の心の中で大きな渦を起こし、私を暗闇の中に飲み込んでいきました。
看護師向いてないかも・・・転職を決意した私がしたこと

「看護師向いてないかも・・・」という漠然とした不安を抱え、スマホを片手に「看護師 向いていない」「看護師 転職」を検索する日々。
私は誰にも相談することが出来ず、1人でひたすらもやもやとし続けていました。
ただでさえ猫の手も借りたいほどに忙しい勤務中にはもちろん相談する時間なんて取れませんでしたし、うわべだけのアドバイスをされても(少々卑屈になっていた自覚はあります)私の不安の本質を解消することはできないと思っていたからです。
本当に沢山の人の経験エピソードを読み、ハローワークや看護専門の転職サイトを毎日チェックしました。
そして私は、転職を決意します――
「看護師に向いてない」――悩んだ私が転職を決めた理由
「看護師に向いてないのかも」「もしかして転職するべき・・・?」と1人で葛藤を続ける日々。
実際に転職に気持ちが傾いても、「転職活動って何からしたらいいの・・・」「転職先でもうまくいかなかったらどうしよう・・・」と考え、永遠に答えが出せずにいました。
そんな日が続き、私の心はどんどんすり減っていきました。
念願の看護師になれたのに、なぜこんなにも苦しいのか。
それはここまででお話したいくつかの原因もあるのですが、もう1つ。
‘私らしく働きたい‘
この思いが大きかったように思います。
理想の看護師像に近づくことが出来ず、優秀な同期と比較しては落ち込む毎日――
無意識に他者と自分を比較してしまう癖がついてしまっていた私は、常に人目――同僚の目や先輩看護師からの評価ばかりを気にして、自分自身を見失っていたのです。
私が転職を決意した理由は、
‘もう1度私自身を取り戻したい‘
その一心で転職に踏み切りました。
転職活動で注意すべき2つのこと
さて、私はとうとう転職を決めたので、まずは上司に退職を申し出ねばなりませんでした。
ここで、私自身の経験を踏まえて転職活動で注意すべき最も重要なことを2つお伝えします。
- 退職の意向がある段階で、すぐに直属の上司に申し出る。
- 転職活動では十分な情報収集と、必ず見学に行くこと

これは、私自身の経験を踏まえたうえで発信したい重要な2つです!
退職の意向がある段階で、すぐに直属の上司に申し出る。
これは、最も重要な点です。
なぜなら、ほとんどの病院では定期的な意向調査や上司との面談により年間の人員配置が計画されており、退職するスタッフの人数を把握することは人員配置計画に大きく影響するからです。
あなたが少しでも転職を考えていて退職を検討しているのであれば、早めに少しずつ相談しておくことで職場への影響も最小限にし、円満退職へとつなげることができます。
相談をすると、「引き留められるんじゃ・・・」と心配になる人もいるでしょう。
もちろん相談した上司や先輩に恵まれて、あなたの抱えていた悩みが本質から解消され「辛いこともあるけどやっぱりここで看護師を続けたい!」と心の底から思う事ができたのなら、それは1番良い展開です。
あとはあなたの評価が高く、手放したくない人材だと思われて引き留められているケースですね。
もしあなたが相談の余地なく退職の意思が固く決まっているのであれば、そのようにはっきりと申し出ましょう。
退職の意思は固まっているのにはっきりと伝えることができなければ、「引き留められる余地がありそうだ」と相手に思われてしまう可能性があります。
ですがこの重要な点には、1つの例外があります。
それは以下の場合です。
あなたが精神的に追い詰められてしまっており余裕のない場合、もしくは実際に心療内科などを受診して何らかの診断を受けて就業に関して医師の指示を受けている場合
この場合には、職場への影響よりもまずは1番に自分自身の心を守る選択をおススメします。

トラブルを避けて、円満退職を目指しましょう。
転職活動では十分な情報収集と、必ず見学に行くこと
言わずもがな、‘看護師は売り手市場‘とされてきました。
かくいう私も、わずか2年という短期間での転職活動でしたが、看護師不足が叫ばれていましたので魅力的な条件が提示された求人情報がいくつもありました。
年間休日日数、残業なし、夏冬ボーナス2回、特別手当あり・・・
どれも魅力的ですね。
しかし、転職活動では紙面やネットだけでは十分な情報を得ることができないのが実際です。
とても惹かれた職場、少し気になる職場とあれば、可能な限り見学に伺うようにしましょう。
見学に行くことで、文字には表現できない現場の雰囲気やスタッフの人間関係を知ることができます。
最も避けたいのは、転職して「こんなはずではなかった」になってしまうこと。
この状況を可能な限り回避するためにも、いくつかの候補先は見学に行くようにしましょう。
また積極的に見学に行くことで、転職先に意欲的な印象を与えることもできます。
さらにみなさん、2025年問題をご存知でしょうか。
数年前から問題化されていたこの2025年問題、第1次ベビーブームに出生した団塊世代が75歳以上となることで予測されているさまざまな社会問題のことを指しています。
とうとうこの2025年を迎えましたね。
この2025年問題では、医療や介護を必要とする人が増える一方で全体的な少子化も影響して現場を支えるスタッフが不足し続けるため従来の病院完結型のシステムでは対応が不可能になってくると考えられています。
そこで、病院完結型から地域完結型へ――医療の体制が見直されているのです。
医療や介護の主たる現場が少しずつ地域へと移行してきているので、今後訪問看護の分野や地域に根差した中小規模の病院では看護師の需要は増大する可能性があります。
こうした社会的背景も考慮して転職活動を行うことも、自分に合った求人を見つける、そしてより良い条件の求人を見つけるためにも重要であると言えるでしょう。
転職活動を通して、気づいたこと

悩みに悩んで退職を決意し、転職活動に踏み切った私が気づいたことが2つあります。
まず1つ目、
看護師向いてないかも=看護師を辞める必要はない。
ということです。
あなたが看護師を辞めたい、他の仕事をしたい、と思っているのであればそれはそれで構いません。
しかし、あなたが少しでも看護師という仕事に心残りを感じているのであれば、転職=職場を変えることで状況が一変する場合もあります。
看護師を求めている職場は非常に多岐に渡ります。
一口に病院といっても、急性期や回復期・リハビリ病院、開業医、そして特別養護老人ホームや介護保険施設の看護師、保育園で働く看護師から企業看護師、そして最近テレビでよく見る応援ナースなど、働き方は多様です。
あなたを求めていて、あなたもそこで自分らしく働くことができる。
そんな需要と供給システムが合致した職場が見つかるかもしれません。
次に2つ目、
転職が正解だったかどうかは、あなたの行動次第。
ということ。
誰もが安全な道を選びたいので、この道を進めば間違いないと保証されている道を進みたいですよね。
ですが残念ながら、転職活動に限らず人生において、この道を進めばあなたは絶対に成功する、と保証された道はないのです。
進んだ道がたとえ理想と違っていても、その道を正解にしようとするあなたの努力が重要であり、その努力が結果に繋がります。
看護師に向いてないかも――悩んでいるあなたへ

「看護師 向いてないかも」「転職しようかな」「同期はあんなに優秀なのに私は全然ダメ」
その気持ち、分かります。とっても辛いですよね。
皆さんが置かれている状況も考え方も私自身とは違うと思うので、私の体験エピソードはあくまでも私の経験に基づく内容であり、これをしたらすべてうまくいく、と保証できるものではないのが現実です。
しかしこのブログは、看護師向いてないかも、と人知れず悩むあなたが、少しでも‘私だけじゃないんだ‘と感じることができたら、と発信を決めたブログです。
定期的にブログの更新も行っていきますので、今後もお読みいただけると励みになります。